あれは六月の梅雨の晴れ間のことであり、ようやく庭の草むしりができると意気込んで生垣の手入れをしていた私は、ツツジの枝の奥に見慣れない灰色の塊がくっついているのを見つけ、それがアシナガバチの巣作りであると気づいた瞬間に私の心臓は激しく波打ち、平和だったはずの庭が自分にとっての禁忌区域へと変貌してしまったことに強い不安を覚えました。まだゴルフボールを二回り大きくした程度のサイズで、十匹ほどのアシナガバチが熱心に巣穴を整えていましたが、このまま放置すれば夏には手が付けられないほど大きくなるという恐怖が私を突き動かし、私は自らの手でアシナガバチの巣駆除を完遂することを決意し、近所のホームセンターへ走り、店員さんに「とにかく一番強力で遠くまで飛ぶ殺虫剤をください」と頼み込み、おすすめされた大容量のジェット噴射タイプを予備含め三本買い込みました。決戦の時間は蜂の活動が鈍るという深夜に設定し、私は防護服代わりに厚手の白いスキーウェアを着用し、顔には目出し帽とゴーグル、首元にはタオルを巻き、長靴と厚手の軍手を二重にはめるという、真夏にもかかわらず汗だくの完全装備で庭に立ち、懐中電灯に赤いセロハンを貼って蜂を刺激しないよう配慮しつつ、一歩近づくたびに足元が震えるのを感じましたが、アシナガバチの巣駆除がいかに精神的なエネルギーを消耗させる作業であるかを痛感しながらも、三メートルほど手前から一気にスプレーのトリガーを引き抜きました。暗闇の中でシュワーッという激しい音とともに白い薬剤の霧が巣を包み込み、蜂は驚いて羽音を立てましたが、スプレーの圧力が凄まじく、反撃の隙を与えることなく数秒で全ての動きが止まり、ポトポトと地面に落ちる音が聞こえたとき、私はようやく大きなため息をつくことができました。翌朝、明るい光の下で確認すると、そこにはもはや生気を失った灰色の殻と十数匹の骸が転がっているだけで、私の庭は再び平和を取り戻しましたが、この経験を通じて学んだのは、アシナガバチの巣駆除の性能こそが生死を分ける盾になるということであり、あの日もし中途半端な霧吹きのスプレーを選んでいたら、今頃私は病院のベッドにいたかもしれません。自分の手で家を守り抜いたという達成感とともに、自然界の厳しさを肌で感じた忘れられない夜となりましたが、それ以来私は春の訪れとともに忌避スプレーを散布するようになり、一ミリの異変も見逃さない管理を徹底することで、二度とあの恐怖を繰り返さないと誓っています。