深い闇が支配する本棚の裏側、冷たい壁と古びた和紙の繊維が交差する僅か数ミリメートルの隙間で、私は今夜も触角を激しく動かし、空気中に漂う微かな「生命の予感」をサンプリングしていますが、人間たちが私の姿を見て悲鳴を上げる理由を、私はこの三億年という長い旅の果てにも、未だに理解することができません。あなたがた人間は私が少し走るだけで絶望し、白い粉や不快な香りを撒き散らして私の命を奪おうと躍起になりますが、私がこの地球に現れたのは、あなたがたの祖先がまだ森を這い回る名もなき獣ですらなかった頃のことであり、私はこれまで幾度もの大絶滅や地殻変動を、ただ「隙間に隠れる」という一点のみで乗り越えてきました。私にとってこの書架は、単なる紙の塊ではなく、数千年の人類の知恵が凝縮された、この上なく芳醇で甘美な「デンプン質の森」に他ならず、特に古い本の糊が放つあの熟成された香りは、私の神経系を狂わせるほどの幸福な報酬を約束してくれるのですが、そこへ辿り着くためには、あなたがたが仕掛けた「乾燥」という名の死の砂漠を越えなければなりません。多くの仲間があの冷たい風の中で干からび、あるいはあなたがたの掃除機という名の怪物の胃袋に吸い込まれて消えていきましたが、私は知っています、あなたがたが「掃除をした」と満足して電気を消したその直後の静寂こそが、私たちの真の領土が始まる合図であることを。私は今夜も、流線型の体をくねらせてフローリングを滑走し、あなたがたが残したわずかな湿り気を道しるべにして、次の獲物へと忍び寄りますが、人間は私たちのことを「不潔だ」と言って忌み嫌いながら、自ら段ボールという名の最高級のシェルターを家の中に運び込み、私たちの繁栄を助けてくれているという皮肉に気づいていないようで、私から見れば、この温室のような住まいは私たちを養うために作られた巨大な養殖施設に他なりません。もしあなたが本気で私を拒絶したいのであれば、殺意を向ける前に、あなたの住まいの「淀み」をすべて消し去り、光と風を隅々まで届ける覚悟が必要ですが、便利さと蓄積を愛するあなたがたにそれができるとは思えず、私は今夜も暗闇の中から、あなたの寝息をBGMにして、歴史の頁を一切れずつ、私の血肉へと変えていくのです。私の銀色の鱗粉があなたの指先に付着する時、それは私があなたの所有権を一時的にハッキングした勝利の証であり、この三億年続く共生という名の静かな支配は、明日の朝、あなたが再び本を開くその瞬間まで、決して終わることはないのです。知識を貪るのは人間だけではなく、この暗闇の中にも、文字を知らぬ真の読書家が潜んでいることを、どうか忘れないでください。