掃除機でゴキブリを吸い込むという、一世一代の決断を下し、見事、目の前の敵を視界から消し去ることに成功した。しかし、本当の戦いは、実はここから始まります。掃除機というブラックボックスの中に潜む、生死不明の敵の存在は、そのまま放置すれば、私たちの心に静かな恐怖の種を植え付け続けることになります。その恐怖に終止符を打ち、二度と悪夢を見ないために、吸い込んだ後に取るべき、掃除機の種類に応じた正しい後処理の方法を解説します。まず、「紙パック式掃除機」の場合です。こちらの方が、後処理は比較的シンプルで、精神的な負担も少ないです。ゴキブリを吸い込んだら、すぐに掃除機のスイッチを切り、本体から紙パックを取り出します。そして、紙パックの吸い込み口を、ガムテープなどで何重にも、これでもかというほど厳重に塞ぎます。これにより、万が一ゴキブリが生きていたとしても、脱出することは完全に不可能になります。その後、念には念を入れて、その紙パックをさらにビニール袋に入れ、口を固く縛ってから、可燃ゴミとして速やかに処分してください。もったいないと感じるかもしれませんが、一枚の紙パックと、あなたの心の平穏を天秤にかければ、答えは明らかでしょう。次に、より注意が必要なのが「サイクロン式掃除機」の場合です。ゴキブリを吸い込んだ後、まずはスイッチを切らずに、そのまま吸引力を最大にして、数十秒から一分程度、運転を続けてください。これにより、内部でさらにダメージを与え、確実に仕留める確率を高めます。その後、ダストカップを取り外し、中のゴミを、大きめのビニール袋の中に、直接、そして慎重に全て捨てます。この時、ゴキブリが飛び出してくる可能性もゼロではないため、心の準備が必要です。ゴミを捨て終わったら、すぐにビニール袋の口を固く縛り、密閉します。そして、ここからが重要です。空になったダストカップと、フィルター類を、可能な限り分解し、風呂場などで徹底的に水洗いしてください。これにより、目に見えない卵や、付着した雑菌、そして仲間を呼び寄せるフェロモンを洗い流すことができます。この、吸った後の確実な一手間こそが、掃除機という便利な道具を、恐怖の発生源に変えないための、最も重要な儀式なのです。